不登校カウンセラーで、現役塾講師の前田です。
不登校に悩む親がやってはいけない事があります。
一言で言えば・・・
子どもを変えようとする事
です。
子どもの代わりに親が不登校を解決する事
と言ってもよいでしょう。
不登校に対して戦うのは子ども本人ですし、
そうでなくてはいけません。
親は不登校に立ち向かう子どもの裏方です。
野球やサッカーを考えて下さい。
相手チームと戦うのは選手です。
選手に戦い方を教えるのはコーチや監督。
選手がケガなく最高のパフォーマンスを出せるように
グランドを整えるのが裏方です。
ボール拾いをする裏方もいます。
裏方の仕事は目立ちません。
仕事ぶりに気づいてくれない選手もいます。
中には、裏方を格下とみて無下に扱う選手もいるでしょう。
でも、彼らはひたすらボールを拾いグラウンドを整地します。
勝っても褒められるのは選手や監督。
整地した裏方さんには
誰も賞賛の声を送ってくれません。
でも、褒められなくても
選手から無下に扱われても
毎日毎日ひたすら環境を作るのが裏方です。
そうです、
裏方の役目とは「環境づくり」です。
子どもが不登校に立ち向かえるように
環境づくりをすることだけが
裏方である親の仕事なのです。
しかし、スポーツならまだ簡単ですが
親が裏方に徹するのは本当に大変です。
ついつい言いたくなるから、です。
しかし、裏方が選手の代わりに戦っても
選手の力はつきません。
「出しゃばりやがって…」と腐るばかりです。
そこで、裏方に徹するために
やってはいけないタブーを覚えておきましょう。
今からお伝えする4つの行為は
お父さんやお母さんがどんな意図であっても
仮に子どもの事を思っても絶対にしてはいけません。
次の4つのタブーを守れば自然と裏方に徹する事ができます。
子どもと口げんかになる事も減るし、
信頼関係を損なう事もありません。
具体的には次の4つです。
タブー1:学校に行きなさいと言う
学校に行きたくないという子どもに
学校に行きなさいと言わないで下さい。
子どもは学校に行きたいものです。
学校に行きたい、
友達と遊びたい、
楽しく勉強したい、
行けるものなら行きたい…でもどうしても行けない。
だから悩み続けています。
お母さんも本当に大変だと思いますが
子ども本人が一番苦しんでいます。
だからどうか学校に行きなさいとは言わないで下さい。
学校に無理やり登校させると…こんなリスクもあります。
タブー2:勉強の遅れを心配する
塾講師をしているので
お父さんやお母さんがお子さんの学力について
心配される気持ちは痛いほどよくわかります。
「このままでは勉強がどんどん遅れるのでは…」
「学校に登校できないと内申点に影響するのでは…」
「出席日数が足りず留年して進学できないのでは…」
お子さんの将来を思えばこそ、
将来後悔してもらいたくないからこそ、
勉強の事が気になってしまうのが親心だと思います。
しかし、タブー1ともかぶりますが
子どもは本心では「勉強したい」のです。
でも出来ないから困っています。
ダイエットした経験があればわかると思いますが
ダイエットして痩せるためには
(1)消費カロリー以上に食べずに
(2)運動する
基本的にはこの2つですよね?
シンプルです。
では、シンプルだから簡単かと言われれば
これが思った以上に難しい(のではないでしょうか?)。
ついつい好きなお菓子を食べてしまう…
毎朝散歩しようと思ったけど
3日坊主でなかなか続かない…
そんな経験が誰しもあると思います。
そんな時に旦那さんから
「最近また太ったな…。お前の将来が心配だ…」
と言われたらどうでしょうか?
(あぁ、私のダンナ様は何て良い人なの。
将来を心配してくれるなんて私は世界一の幸せモノだわ!)
と感じるでしょうか?
・・・
ノーですよね。
(何を言うとんじゃー。
アンタの給料が安いから
ストレスで食べちゃうんでしょうが!)
などと感じてしまうはずです。
そうです、
お母さんがそうであるように
正論であっても受け入れられる形でないと
人は素直に受け入れる事ができません。
子どもも同じです。
正論でも言い方を間違えると耳を傾けてくれません。
むしろ、そんな事を言った親に対して
「自分の事をわかろうともしない、
どうしようもない親」
というレッテルを張ります。
このレッテルを貼られてしまうと
何を言っても真逆の解釈をされてしまい
不登校や引きこもりの解決がどんどん遠のきます。
ですから、お子さんの勉強や学力が心配でも
その事はあえて言わないようにして下さい。
心配する事と「心配している」と口に出す事は別です。
「心配している」と口に出さなくても
心配していると伝わった時の方が
子どもは感謝します。
参考までにこちらの記事をお読み下さい。
タブー3:子どもと話し合う
「あなたと話し合いたい」
引きこもりだった頃、
私は親から何度もこう言われました。
(やった!やっと人の話を聞いてくれる気になったのか!)
と内心喜び期待していましたが
その期待はすぐに打ち砕かれました。
話し合うためにリビングに行くと
いきなりこう聞かれました。
「お前の将来が不安で不安で仕方がない。
親がこんなに心配しているのに
お前は何とも思わないのか?」
「これからどうやって生きていくつもりなんだ?」
「いい齢をして働きもしないのはなぜだ?
恥ずかしくないのか?」
と詰問ばかり。
話し合いではなく、ただの『取り調べ』でした。
父はまるで鬼刑事のように私を責め続け、
母はまるで泣き落としのプロかと思うほど
横でシクシク泣いています。
(これは話し合いじゃない!
ただ親の要求を伝えたいだけだろ?)
といつも思っていました。
と同時に
(父さん、母さん、親不孝者でゴメンよ。
本当に申し訳ないと思っているよ。
でも、出たくても出られないんだよ)
と感じていました。
今になればわかりますが、
子どもは「話し合い」は求めていません。
ただ話を聞いて欲しいだけ、
ただ共感して欲しいだけ、
ただ「愛している」と伝えて欲しいだけ、
ただそれだけです。
親の心配も主張も質問は
実はいつも自分で自分にしています。
(自分はこのままで大丈夫なのか…?
いや大丈夫なわけがない!なんとかしたい!)
(出席できずに進学できなくていいのか?
いや良いわけがない!夢をなんとか叶えたい!)
(親に心配させてばかりで恥ずかしくないのか?
いや恥ずかしい…親孝行がしたい!
お父さんとお母さんを
とびっきりの笑顔にしてあげたい)
毎日どころか、毎分、毎秒、
ずっとずっと自分に問うています。
だから話し合う必要なんてないのです。
お子さんは現状が良いなんて1ミリも思っていません。
プライドが高いから
「別に」とか「気にしてない」と言いますが
それはただの強がりです。
どうかその気持ちをくんであげて下さい。
タブー4:子どもを変えようとする
人は誰しも「変わりたい」と思っていますが
誰も「変えられたい」とは思っていません。
あなたも私もそうだし、そしてお子さんもそうです。
自分を変えようとする人間に
良い印象は持ちません。
また、仮に親の力で子どもを変えたとしても
それは不登校の根本的な解決にはなりません。
こちらでも書きましたが
不登校は子どもが大きく成長する最大のチャンスです。
不登校という人生最悪のピンチを
自分の力で乗り越える事で、
欠けていた自信を手に入れる事ができるのです。
でも、最大のチャンスには
最悪のピンチの姿でやってきます。
出産を思い出して下さい。
「鼻の穴から大根が出てくるような、
肛門からスイカが出てくるような痛み」
と産婆をしていた祖母から
出産の痛みの程度を聞いた覚えがあります。
男の私には想像しかできませんが
鼻の穴から大根が出てくるなんて考えられません。
しかも、出産にはリスクもあります。
今はそれほどではありませんが
つい50年前まで出産時に命を落とすお母さんは
一定数いらっしゃいました。
しかし、その痛みを乗り越えた後には
出産という最高の瞬間や喜びが待っています。
男には一生味わえない喜びだと思います。
そうです、
チャンスとピンチはコインの裏表なのです。
お子さんにとって
不登校は最悪のピンチに見えて
実は最高のチャンスです。
だから、このチャンスを親が奪わないで欲しいのです。
親の役目はたった1つです。
このピンチをチャンスに変える、
チャンスを作る環境づくりだけに集中して下さい。
・・・
以上、親が裏方に徹するために
不登校でやってはいけない4つのタブーを書きました。
やってはいけない事は理解出来ました。
では、親は何をすれば良いのでしょうか?
「環境づくり」とは具体的に何をする事ですか?
という質問が出てきたと思います。
それを次回の記事でお届けしますね。